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名古屋市でも相続トラブル多発!?複数不動産を保有する方が事前にすべき対策とは

こんにちは!名古屋市瑞穂区の不動産会社「悠久ホームサービス」不動産売却サポートブログ編集部です。
不動産をお持ちの方にとって、相続は避けて通れない問題です。準備不足のまま相続が発生すると、予想外のトラブルに見舞われることも少なくありません。本記事では、相続でよくあるトラブルの具体例と、それぞれの対策方法を解説していきます。複数の不動産を所有されている場合は特に、事前の対策が円滑な相続につながります。ご家族の絆と大切な財産を守るための、実践的な知識をお届けします。
相続トラブルが起きやすい背景
トラブルが増加している理由
調停や審判に発展する相続問題の件数が、年々増えています。背景にあるのは、被相続人が相続について明確な意思表示をしないままになっているケースが多いということです。
遺言書がなければ、法律で定められた相続割合に基づいて分割することになります。しかし現実には、各相続人が置かれた状況や事情はそれぞれ異なります。一律の法定相続割合では納得できない相続人が出てくるのは、ある意味必然的なのです。
名古屋市では、複数の不動産を保有している方が多くいます。不動産は現金のように簡単には分割できないため、どのように分けるかで意見が対立しやすいのです。
トラブルを防ぐためには何が必要か
相続争いが起きてしまうと、解決に多大な時間と費用を要します。弁護士への相談料、調停や審判の手続き、そして何より大切な家族関係が損なわれる可能性があります。
こうしたトラブルを未然に防ぐために最も効果的なのが、生前からの準備です。被相続人が自分の意思をはっきりと示しておくことで、相続人間の対立を大幅に減らすことができるのです。
相続でよくあるトラブルのケース
ケース1:事業承継に伴う不均衡
会社経営者が後継者に株式や事務所を相続させる場合、その相続人が受け取る財産が他の相続人より大きくなります。法定相続では兄弟姉妹に区別がないため、他の相続人から「なぜ兄だけこんなに多いのか」という異議が出やすくなるわけです。
こうした場合の対策としては、遺言書に具体的な分配内容を記しておくことです。事業に必要な資産を後継者に、それ以外の現金や有価証券を他の相続人に配分するなど、各人の状況に合わせた分け方を指定します。さらに遺言書の付言事項に、そうした配分にした理由を述べておくと、相続人の理解が得やすくなります。
ケース2:不動産が主な遺産である場合
特に都市部では、遺産の大部分が不動産というケースが少なくありません。一つの不動産を複数人で共有相続することは、実務上多くの問題を生じさせます。また、複数の不動産があっても、立地や収益性によって価値が大きく異なり、「どちらが誰に行くのか」で揉めることもあります。
こうした場合、一人の相続人が不動産を相続し、他の相続人に現金で相応の価値を支払う「代償分割」という方法があります。ただしこの方法は、不動産を相続する人が十分な現金を用意できることが前提です。
別の選択肢として、遺言に「不動産は売却して現金化し、その代金を相続人で分ける」と記しておく方法もあります。この方法なら、誰がどの不動産を相続するかで揉めることなく、公平に分割できます。
ケース3:再婚家族における相続
被相続人が再婚していた場合、新しい配偶者と前の配偶者との間の子どもが相続人になります。両者が疎遠な関係だと、相続財産の分配をめぐって対立することが少なくありません。
この場合、遺言で相続内容を明確に指定することが重要です。新しい配偶者の生活を支えるため自宅を相続させる、前の子どもには現金を相続させるなど、それぞれの事情を踏まえた配分を決めておきます。
ケース4:相続人が遠方に分散している場合
相続人の数が多い、または相続人同士が遠く離れて住んでいる場合、遺産分割の話し合いそのものが難しくなります。遠方の不動産について、複数の相続人が現金化を希望すると、協議はさらにまとまりにくくなるでしょう。
こうした場合は、遺言であらかじめ分配方法を決めておくべきです。特に遠方の不動産については「売却して現金化する」と明記しておくと、相続人の手続き負担も減ります。
ケース5:過去の生前贈与がある場合
被相続人が生前に特定の子どもに多額の贈与をしていた場合、贈与を受けていない他の子どもから不満が出やすくなります。遺言書がなければ、法定相続割合で分けることになり、不公平感はさらに増します。
この場合、遺言書で生前贈与を考慮した配分を指示することが有効です。贈与を受けなかった相続人に多くの財産を相続させるほか、遺言の付言事項に生前贈与の事情を説明しておくと、他の相続人も理解しやすくなります。
介護と相続の関係
介護負担と相続分の不均衡
長年にわたって被相続人の介護をしてきた相続人がいる場合、その人の心情としては「自分が一番貢献したのだから、相続分ももっともらえるはず」と考えるのは自然です。しかし法定相続では、介護をした者もしていない者も等しく相続することになります。これが家族間の対立を招くのです。
相続人以外が介護を担っていた場合
さらに複雑なのが、被相続人の配偶者や子どもの配偶者が主に介護をしていたケースです。配偶者や子どもの配偶者は相続人ではないため、原則として遺産を受け取ることはできません。長年の労力と時間を費やしたのに報われないという、深刻な不公平感が生まれます。
介護貢献への対策
このようなケースでは、遺言書に介護への感謝と配慮を盛り込むことが大切です。介護を担った相続人には、他の相続人より多くの財産を相続させるという指示を書きます。
さらに重要なのが、遺言の付言事項です。ここに「長女が長年にわたり親の介護をしてくれたことに感謝し、そのため他の兄弟より多くの財産を相続させる」といった説明を記しておくと、他の相続人も被相続人の想いを理解しやすくなります。
相続人ではない配偶者や孫に財産を残したい場合も、遺言に「遺贈」として明記することで実現できます。これにより、介護の負担に報いる道が開けるのです。
実例に見る相続の複雑性
複数の不動産と事業を持つケースの事例
不動産賃貸業を営んでいた被相続人A氏の相続では、複数のトラブル要因が絡み合っていました。
長男は父の事業を継ぎたいため、自宅と収益物件である賃貸ビルを相続し、同時に事業ローンも引き継ぐつもりでした。対して長女と二女は「遺言がないのだから、法律で決まった相続割合で分けるべき」と主張しました。
さらに厄介だったのは、20年前の生前贈与の差です。長男と長女には各2,000万円が贈与されていたのに、二女は1,000万円だけでした。二女はこの差を相続分配に反映させるべきと主張し、問題は膠着状態に陥ったのです。
トラブルの根本原因
この事例の根本原因は、A氏が相続についての明確な意思を示していなかったことにあります。「先祖から受け継いだ財産は分散させたくない」という想いを持っていたなら、それを遺言書に明記するべきでした。
また、過去の生前贈与の差についても、その時点で相続人間の理解を得ておくべきでした。「次の相続では二女に多めに配分する予定」といった説明があれば、後々の不満を軽減できたはずです。
必要だった対策
A氏がすべきだった対策は以下の通りです:
1. 遺言書作成:「自宅と賃貸ビルは長男に相続させる」と具体的に指定
2. 付言事項の記載:事業継続の必要性と、他の子どもへの配慮を説明
3. 生前贈与の整理:過去の贈与差を踏まえ、相続時の配分を決定
4. 相続人との事前協議:生前から相続計画について相続人に説明
5. 債務の明確化:不動産と借入金をセットで相続させることを指示
6. 納税資金の確認:相続税支払い能力を各相続人で確認しておく
トラブルを避けるための実践的な対策
対策1:遺言書作成が基本
相続トラブルを防ぐ最も確実な方法は、遺言書を作成することです。遺言があれば、被相続人の意思に従って相続内容を決めることができます。法定相続割合の枠を超えた、柔軟な財産配分が可能になるのです。
特に複数の不動産を所有している場合、「この物件はこの相続人に」と明確に指定しておくことで、相続人間の対立を大幅に減らせます。
対策2:付言事項による説明
遺言書に記された付言事項は法的効力を持ちませんが、被相続人の想いを相続人に伝える強力な手段となります。「なぜこのような配分にしたのか」「誰を頼りに思っているか」といった背景を記しておくと、相続人の理解が深まり、対立を避けやすくなります。
対策3:代償分割や売却の活用
不動産を複数保有している場合、代償分割(一人が不動産を相続し、他の相続人に現金を支払う)や売却による現金化が選択肢になります。ただし代償分割は、相続人が十分な現金を用意できることが前提です。
売却による現金化なら、相続人間での不公平感が最も少なくなります。
対策4:生前から相続人と対話する
被相続人が生前のうちに「相続について自分はこう考えている」と相続人に伝えておくことは非常に重要です。急に遺言書の内容が明かされるのではなく、事前に理由とともに説明されていれば、相続人の納得度が大きく変わります。
対策5:専門家のサポートを活用する
遺言書作成や相続全般について、弁護士や司法書士、税理士といった専門家に相談することをお勧めします。特に複数の不動産を保有している場合や相続税が発生する可能性がある場合は、専門家のアドバイスが不可欠です。
当社でも、相続に伴う不動産の売却や活用についてのご相談を承っています。不動産の評価や売却方法についてのご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
相続トラブルは、適切な事前対策によってその大半を防ぐことができます。遺言書の作成、付言事項による説明、相続人との事前対話といった準備が、後々のトラブルを大幅に減らすのです。
特に複数の不動産を保有している方は、「どの不動産を誰に相続させるか」「相続税はいくら発生するか」「各相続人に納税資金があるか」といった点を、生前から十分に検討しておくべきです。
相続は避けて通れない手続きです。だからこそ、早めの準備と適切な対策が、ご家族の円滑な相続と財産の保全につながるのです。相続について不安なことがあれば、まずは専門家に相談してください。当社でも不動産相続に関するご相談を承っておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。
監修者情報

悠久ホームサービスは名古屋市に根差した地域密着型の不動産会社です。専門知識を持つスタッフが、売買・相続・贈与・空き家活用など幅広くサポートし、お客様一人ひとりに合わせた解決策をご提供します。購入や売却の後も丁寧にフォローし、安心してお任せいただける体制を整えています。名古屋市で不動産相続や売却をお考えの際は、ぜひ当社にご相談ください。
代表取締役 山内 章寛
