news
名古屋郊外の不動産を売却するコツ|需要が低いエリアでの工夫

名古屋市の郊外エリアや市外縁部で不動産を所有している方の中には、「都心部と比べて需要が少なく、売却が難しいのでは」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。確かに郊外エリアは都心部と比べて買主候補が限定的ですが、適切な戦略とアピール方法により、満足のいく売却は十分に可能です。
本記事では、名古屋郊外の不動産を売却する際のコツと、需要が低いエリアでも成功するための具体的な工夫について解説します。
名古屋市郊外の不動産市場の特徴
まずは、名古屋市郊外エリアの不動産市場の特徴を理解しましょう。
郊外エリアの定義と該当地域
本記事では、以下のエリアを「郊外エリア」として扱います。
名古屋市内の郊外部
- 守山区(特に志段味・大森地区など)
- 緑区(特に鳴海・大高地区の外縁部)
- 天白区(特に平針・植田の外縁部)
- 名東区(特に猪高・藤が丘の外縁部)
- 港区(特に南陽地区)
- 南区(特に笠寺・星崎地区)
名古屋市に隣接する郊外
- 春日井市
- 日進市
- 長久手市(一部エリア)
- 東海市
- 大府市
- 豊明市
これらのエリアは、名古屋市中心部へのアクセスに時間がかかり、駅から遠い物件も多く存在します。
郊外エリアの不動産市場の特徴
価格帯が比較的低い 都心部と比べて土地・建物の価格が30%〜50%程度安く、手頃な価格帯が特徴です。名古屋市中心部では3,000万円以上する物件が、郊外では1,500万円〜2,500万円程度で取引されることも珍しくありません。
売却期間が長くなりがち 都心部では3ヶ月程度で売却できる物件が、郊外では6ヶ月〜1年以上かかることもあります。買主候補が限定的なため、じっくりと時間をかけた販売活動が必要です。
車社会が前提 公共交通機関が不便なエリアが多く、買主は車を所有していることが前提となります。そのため、駐車場の有無や複数台駐車可能かどうかが重要なポイントになります。
広い土地が多い 都心部と比べて土地が広く、100坪以上の物件も珍しくありません。広さを求める買主にとっては魅力的ですが、管理の手間や固定資産税の負担も大きくなります。
ファミリー層が中心 買主の多くは子育て世代のファミリー層です。学区や教育環境、公園などの子育て施設が重視されます。
郊外エリアの需要動向
名古屋市の郊外エリアにおける不動産需要は、以下のような動向があります。
需要が高いエリア
- 地下鉄駅やJR駅から徒歩圏内(15分以内)
- 人気学区内
- 大型商業施設が近い
- 幹線道路沿いでアクセスが良い
- 新興住宅地で街並みが整っている
需要が低いエリア
- 最寄り駅から2km以上離れている
- バスの本数が少ない(1時間に2本以下)
- 商業施設が遠い
- 古い住宅地で高齢化が進んでいる
- 道路が狭く車の出し入れが困難
需要が低いエリアでも、適切な戦略により売却は可能です。
売れにくいエリアでも売却できる工夫
需要が低い郊外エリアでも、以下のような工夫により売却成功率を高めることができます。
工夫1:価格設定を戦略的に行う
郊外エリアでの売却成功の鍵は、適正な価格設定です。
相場をしっかり把握する 周辺の売却事例を調査し、相場を正確に把握しましょう。不動産ポータルサイトで同じエリアの売り出し物件を確認したり、国土交通省の「不動産取引価格情報」で実際の成約価格を調べることができます。
強気すぎる価格設定を避ける 郊外エリアでは、相場より10%以上高い価格設定をすると、買主候補の目に留まらなくなります。特に売り出し当初は、多くの買主候補に見てもらうことが重要なので、相場の範囲内での価格設定が望ましいです。
段階的な価格戦略 以下のような段階的なアプローチも効果的です。
- 売り出し開始:相場の上限価格で設定
- 2〜3ヶ月後:反応が薄ければ5%程度値下げ
- 6ヶ月後:さらに5%程度値下げ、または買取も検討
端数を活用する 2,000万円よりも1,980万円、1,500万円よりも1,480万円というように、端数価格にすることで、検索にヒットしやすくなります。多くの買主は「2,000万円以下」で検索するため、2,000万円では検索に引っかかりません。
工夫2:物件の強みを最大限にアピールする
郊外エリアならではの強みを見つけ、効果的にアピールしましょう。
広さをアピール 郊外エリアの最大の強みは、広い土地と広い居住スペースです。
- 「駐車場3台分確保可能」
- 「100㎡超のゆったりリビング」
- 「家庭菜園ができる広い庭」
- 「収納スペースが豊富」
都心部では実現できない広さを前面に出しましょう。
静かな環境を強調
- 「閑静な住宅街」
- 「交通量が少なく子育てに最適」
- 「夜は星が見える静かな環境」
- 「自然が豊かで季節を感じられる」
都会の喧騒を離れた環境を求める層にアピールできます。
生活利便施設との距離を明記
- 「スーパー車で5分」
- 「ドラッグストア徒歩8分」
- 「コンビニ徒歩3分」
- 「ホームセンター車で10分」
車社会が前提の郊外では、車での所要時間を明記することが重要です。
子育て環境をアピール
- 「小学校まで徒歩10分」
- 「公園が近く子どもの遊び場が豊富」
- 「学童保育完備」
- 「評判の良い学区」
ファミリー層がターゲットの場合、子育て環境は重要なポイントです。
特殊な用途の可能性を示唆
- 「作業場やガレージとしても活用可能」
- 「ペットを飼いやすい環境」
- 「家庭菜園・農作業が可能」
- 「テレワークスペースとして最適な静かな環境」
広い土地や建物を活かした多様な用途を提案しましょう。
工夫3:ターゲットを明確にする
郊外エリアの物件に合ったターゲットを設定し、そこに向けた販売活動を行います。
ターゲット候補1:子育て世代のファミリー
- 30代〜40代の夫婦と子ども
- 広い家と庭を求めている
- 価格の安さを重視
- 車を所有している
アプローチ方法
- 子育て施設や学区の良さを強調
- 広さと価格のコストパフォーマンスをアピール
- 写真は明るく家族の生活をイメージできるものを使用
ターゲット候補2:定年後のシニア層
- 50代後半〜60代の夫婦
- 静かな環境で老後を過ごしたい
- 家庭菜園などの趣味を楽しみたい
- 資金に余裕がある
アプローチ方法
- 静かな環境と自然の豊かさを強調
- 平屋や段差の少ないバリアフリー物件であることをアピール
- 医療機関へのアクセスも情報提供
ターゲット候補3:投資家・事業者
- 賃貸経営を考えている投資家
- 事務所や倉庫を探している事業者
- 駐車場経営を考えている投資家
アプローチ方法
- 収益物件としての可能性を提示
- 周辺の賃料相場や駐車場料金を情報提供
- 事業用地としての活用例を提案
ターゲット候補4:Uターン・Iターン希望者
- 名古屋出身で地元に戻りたい人
- 都会から田舎暮らしを求める人
- テレワークで場所を選ばない働き方をしている人
アプローチ方法
- テレワーク環境の良さをアピール
- 都心へのアクセス時間を明記
- 地域コミュニティの温かさを紹介
工夫4:物件の見せ方を工夫する
郊外エリアの物件は、内見時の第一印象が特に重要です。
ホームステージングの活用 空き家の場合、家具や小物を配置して生活イメージを持ってもらいやすくします。本格的なホームステージングは費用がかかりますが(10万円〜30万円程度)、簡易的なものであれば自分でも実施できます。
写真撮影のコツ
- 晴れた日の明るい時間帯に撮影
- 広角レンズを使って部屋を広く見せる
- 庭や外観の魅力的な部分を複数枚撮影
- 季節感のある写真(桜や紅葉など)も効果的
清掃・整理整頓の徹底
- 庭の草むしりや剪定を行う
- 玄関周りを特に綺麗にする
- 室内の不要な物を片付ける
- 消臭対策を行う(特に空き家の場合)
内見時の工夫
- 全ての部屋の電気をつけて明るくする
- 窓を開けて風通しを良くする
- 季節に応じた温度管理(冷暖房)
- 周辺環境の案内資料を用意する
工夫5:販売チャネルを広げる
郊外エリアでは、都心部以上に幅広い販売チャネルを活用することが重要です。
不動産ポータルサイトの活用 複数の不動産ポータルサイトに掲載し、露出を増やします。写真や物件説明文も充実させましょう。
SNSの活用 Facebook、Instagram、Twitterなどで物件情報を発信します。特に地域のコミュニティグループに参加している場合、そこでの情報発信も効果的です。
地域密着型の販売活動
- 近隣へのチラシ配布(隣地所有者の拡張需要)
- 地域の掲示板への掲載
- 地元不動産会社への情報提供
- 地域の口コミを活用
不動産業者間のネットワーク活用 不動産会社間の情報ネットワーク(レインズなど)を活用し、より多くの不動産会社に物件情報を届けます。
工夫6:柔軟な販売条件を設定する
郊外エリアでは、条件面での柔軟性も売却成功のポイントです。
引き渡し時期の柔軟性 買主の都合に合わせて、引き渡し時期を柔軟に対応します。特に注文住宅を建てる買主の場合、土地の引き渡しから建築完了まで時間がかかることを考慮しましょう。
瑕疵担保責任の明確化 古い物件の場合、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を免責する特約を設けることも検討します。ただし、買主の同意が必要で、価格にも影響します。
分割払いや親族間売買への対応 状況に応じて、支払い条件の柔軟な対応も検討します。ただし、リスク管理は慎重に行う必要があります。
土地の分筆販売 広すぎる土地の場合、分筆して複数の区画として売却することも選択肢です。ただし、測量費用や分筆登記費用がかかります。
工夫7:時期を考慮する
不動産市場には季節性があり、郊外エリアでは特に顕著です。
売却に適した時期
- 1月〜3月:春の引越しシーズンに向けて需要が高まる
- 9月〜11月:秋の引越しシーズン、転勤需要
売却に不向きな時期
- 8月:夏休みで不動産探しをする人が少ない
- 12月〜1月上旬:年末年始で動きが鈍い
ただし、売却時期を選べない場合もあるため、不向きな時期でも諦めず、じっくりと販売活動を継続することが大切です。
郊外エリアの成功事例
実際に名古屋市郊外で売却に成功した事例をご紹介します。
事例1:守山区志段味地区の広い土地(150坪)
物件概要
- 所在地:名古屋市守山区志段味地区
- 土地面積:約500㎡(約150坪)
- 建物:木造2階建て 築35年
- 最寄り駅:徒歩25分(バス15分)
課題 駅から遠く、建物も古いため、買主が見つかりにくい状況でした。
売却戦略 広い土地を活かし、以下のターゲットにアプローチしました。
- 注文住宅を建てたいファミリー層
- 広い庭で家庭菜園を楽しみたい層
- 古家をリノベーションしたい層
また、建物の解体費用を見込んだ価格設定にし、買主が更地・古家付きを選択できるようにしました。
アピールポイント
- 「駐車場4台分確保可能」
- 「家庭菜園や趣味のスペースに最適」
- 「静かな住宅街で子育てに最適」
- 「近隣に大型商業施設あり(車で10分)」
結果 広い土地を求めていた30代のファミリーが購入。注文住宅を建てる前提で、2,200万円にて成約しました。売り出しから5ヶ月での売却となりました。
事例2:緑区郊外の古民家
物件概要
- 所在地:名古屋市緑区郊外
- 土地面積:約300㎡(約90坪)
- 建物:木造平屋 築60年以上の古民家
- 最寄り駅:徒歩30分(バス20分)
課題 非常に古い建物で、一般的な住宅購入者には敬遠される状況でした。
売却戦略 古民家の趣をアピールし、以下のターゲットにアプローチしました。
- 古民家リノベーションに興味がある層
- 田舎暮らしを求める層
- カフェや工房として活用したい事業者
アピールポイント
- 「趣のある古民家」
- 「太い梁と柱が魅力」
- 「静かな環境でカフェや工房としても活用可能」
- 「広い庭で家庭菜園も」
結果 古民家カフェを開業したいという40代のご夫婦が購入。1,500万円にて成約しました。買主はリノベーションに800万円をかけ、週末限定のカフェを開業されました。
事例3:天白区郊外の中古住宅
物件概要
- 所在地:名古屋市天白区郊外
- 土地面積:約180㎡(約54坪)
- 建物:木造2階建て 築25年
- 最寄り駅:徒歩18分(バス10分)
課題 駅から遠く、築年数もやや経過しているため、価格設定が難しい状況でした。
売却戦略 建物の状態が比較的良好だったため、以下の点をアピールしました。
- リフォーム済みで すぐに住める
- 学区が良い
- 周辺環境が静か
価格も相場より10%程度抑えめに設定し、コストパフォーマンスの良さを訴求しました。
アピールポイント
- 「リフォーム済みですぐに居住可能」
- 「評判の良い学区内」
- 「駐車場2台分」
- 「スーパー・コンビニ徒歩圏内」
結果 子育て中の30代ファミリーが購入。2,500万円にて成約しました。学区の良さと価格のバランスが決め手となり、売り出しから2ヶ月での成約となりました。
事例4:春日井市の戸建て住宅
物件概要
- 所在地:春日井市(名古屋市に隣接)
- 土地面積:約200㎡(約60坪)
- 建物:木造2階建て 築30年
- 最寄り駅:JR中央線 徒歩12分
課題 名古屋市外であり、建物も築30年と古めでした。
売却戦略 JR中央線で名古屋駅まで20分というアクセスの良さを前面に出し、テレワーク世代にアピールしました。
アピールポイント
- 「JR中央線で名古屋駅まで20分」
- 「テレワークに最適な静かな環境」
- 「広い庭と駐車場2台分」
- 「スーパー・ドラッグストア徒歩圏内」
結果 テレワーク中心の30代会社員が購入。週1〜2回の出社で十分なため、広い家と静かな環境を求めていました。1,800万円にて成約し、売り出しから4ヶ月での売却となりました。
専門家に依頼するメリット
郊外エリアの不動産売却では、地域に精通した専門家への依頼が特に重要です。
地域密着型の不動産会社のメリット
地域の相場や動向を熟知している そのエリアでの売却実績が豊富で、適正な価格設定ができます。また、どのような買主が多いか、どの時期に需要が高まるかなども把握しています。
地域の買主候補とのネットワーク 地元の不動産会社は、そのエリアで物件を探している買主候補の情報を持っています。会員組織やメーリングリストなどで、素早く情報を届けられます。
地域特有の情報提供 学区、商業施設、医療機関、交通アクセスなど、地域特有の情報を詳しく提供できます。これらは買主の判断材料として重要です。
柔軟な対応 大手不動産会社と比べて、地域密着型の会社は柔軟な対応が可能です。価格交渉や引き渡し条件なども、個別の事情に応じて対応してくれます。
複数の不動産会社への相談
郊外エリアの売却では、複数の不動産会社に相談し、それぞれの提案を比較検討することをお勧めします。
比較すべきポイント
- 査定価格とその根拠
- 売却戦略の提案内容
- 販売活動の計画
- 地域での実績
- 担当者の対応やコミュニケーション
ただし、最も高い査定額を提示した会社が必ずしも良いとは限りません。査定の根拠や売却戦略が明確で、信頼できる会社を選ぶことが大切です。
まとめ|郊外エリアでも適切な戦略で売却成功
名古屋市郊外や需要が低いエリアの不動産でも、適切な戦略と工夫により、満足のいく売却は十分に可能です。
成功のポイント
- 適正な価格設定(相場の把握と段階的な戦略)
- 物件の強みを最大限にアピール(広さ、静かな環境など)
- 明確なターゲット設定(ファミリー層、シニア層など)
- 物件の見せ方の工夫(写真、ホームステージングなど)
- 幅広い販売チャネルの活用
- 柔軟な販売条件の設定
- 地域に精通した専門家への依頼
郊外エリアの売却は、都心部と比べて時間がかかることもありますが、焦らずじっくりと適切な買主を見つけることが重要です。地域に精通した不動産会社に相談し、物件の特性を活かした戦略的な売却を目指しましょう。
名古屋郊外の不動産売却相談は、悠久ホームサービスへ
当社では、名古屋市郊外エリアや需要が低いエリアでの売却実績が豊富にあります。地域の特性を活かした売却戦略のご提案から、実際の販売活動まで、トータルでサポートいたします。無料査定・売却相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
関連記事
監修者情報

悠久ホームサービスは名古屋市に根差した地域密着型の不動産会社です。専門知識を持つスタッフが、売買・相続・贈与・空き家活用など幅広くサポートし、お客様一人ひとりに合わせた解決策をご提供します。購入や売却の後も丁寧にフォローし、安心してお任せいただける体制を整えています。名古屋市で不動産相続や売却をお考えの際は、ぜひ当社にご相談ください。
代表取締役 山内 章寛
